Event Overview:
今年で３年目を迎えるニューヨーク近代美術館（MoMA）の『サイレント・ムービー・ウィーク2025』。7夜連続で、近年修復された無声映画7作品を特集上映する。

『街の天使』（1928年／アメリカ）
監督：フランク・ボーゼイギ
出演：ジャネット・ゲイナー、チャールズ・ファレル、アルベルト・ラバリアーティ、ナタリー・キングストン／102分

フランク・ボーゼイギ監督の代表作『第七天国』で観客を魅了したジャネット・ゲイナーとチャールズ・ファレルの名コンビが再び共演し、その心震わすケミストリーが再びスクリーンに蘇る。本作でゲイナーが演じるのは、ナポリの貧しい少女アンジェラ。売春の罪で逮捕されそうになり逃亡、サーカス団に身を寄せる中で、売れない画家（ファレル）と出会い恋に落ちる。彼は彼女の過去を知らぬまま、アンジェラを聖母マリアとしてキャンバスに描き残す。

撮影監督アーネスト・パルマーとの緊密な協働により、ボーゼイギはフォックスの撮影所を幻想的なナポリへと変貌させ、霧に包まれた路地や表現主義的な影を駆使して、敬虔な人間賛歌と信仰の世界を描き出す。ゲイナーは、アカデミー賞初代主演女優賞に輝いたその透明感あふれる演技を本作でも存分に発揮し、「愛は社会的偏見や物質的困難を超える」というボーゼイギの信念を静かに体現している。